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学校での金融教育(マネー教育)の現状のまとめ

教育

こんにちは、こどものマネー教育専門家のゆきひこです。ツイッターはこちら

世の中でお金の教育は不要だと言う人はいないと思いますが、実際の学校の教育はどのように行われているのでしょうか。そこで学校のお金の教育(金融経済教育)の現状について見ていきましょう。

中学/高校で金融教育の低い優先度

今般、本調査に回答いただいた中学校、高等学校のほとんどの教員が、金融 経済教育の必要性を認識している。しかし、必要性は認識しているものの、教育 現場では現行の教育計画に余裕がないため授業時間が不足しており、約3割の教 員が金融経済教育を実施できていない状態となっている。

中学校・高等学校における 金融経済教育の実態調査報告書
平成26年4月  金融経済教育を推進する研究会

まずは金融経済教育を推進する研究会から発行されている実態調査報告書から見てみます。上記はその調査結果のまとめです。

まずは、先生たちは金融経済教育の必要性を認識している事がわかります。要するに、お金の教育は必要だと思っているということです。

ただし、必要性を理解していても実際に教えているかどうかは別です。なぜなら先生達が教える必要があると思っていても教えるシステムが整備していないと教えることができないからです。

授業時間が不足

次に教育現場に余裕が無いため授業時間が不足しているとあります。実際に教えたいけどお金の教育のための授業時間は用意できていないという現状が見えます。

実際に、お金の授業にどれくらい時間を取っているかというアンケートの結果が以下の表になります。ほとんどが年間0か1-5時間という事で、ほぼお金の教育は無いに等しいですね。

ではなぜ、お金の教育のための時間が無いのでしょうか。現行の教育計画に余裕が無いと言っていますが、要は、お金の教育は他の授業と比べると優先度が低いという事です。だから時間も割り振れないですし、そのための時間をとる事ができないというのが現状なのです。

質問内容:現在、金融経済教育を行っている年間の時間数はどの程度か、学年ごとにご回答ください。

中学1年生「0時間」74.2%

中学2年生「0時間」58.2%

中学3年生「「1時間〜5時間」44.6%

高校1年生「「1時間〜5時間」60.9%

高校2年生「1時間〜5時間」49.3%

高校3年生「1時間〜5時間」47.7%

中学校・高等学校における 金融経済教育の実態調査報告書
平成26年4月  金融経済教育を推進する研究会

教員の専門知識と良い教材が不足

多くの教員が金融経済教育を実施するうえで、生徒にとっての理解が難しいことや教える 側の専門知識不足などの問題を感じており、学習内容については、用語や制度の 解説が中心で実生活との繋がりを感じにくいことなどを指摘している。また、金 融経済教育を実施するための支援としては、平易な内容で生徒が利用しやすい副教材を望む 声が圧倒的に多かった。

中学校・高等学校における 金融経済教育の実態調査報告書
平成26年4月  金融経済教育を推進する研究会

授業の時間が取れないことの他にも問題はあります。上記にある通り、実際にお金の教育をする教員の知識不足という問題です。

今の大人もこどもの頃にお金の教育を受けていないので、教えることが難しいのも当然ですよね。また小学校の先生はお金に詳しいわけではありません。

実生活に関わりが感じられない

実生活とのつながりを感じにくいという意見も大切です。つまり生活に関係しない知識を教えていると思っている、また生活の何に関わりがあるかを理解できるように教えられていない、ということなのでしょう。

教えられる生徒も実生活に関わる内容でないと興味がわかないし、難しい言葉を並べられても理解できない。これは中学生・高校生なので、ある程度お金についても難しい内容をいきなり学ぶことになることに原因があるのではないかと考えています。

小学校の時から特に教えられていたわけではないお金のことについていきなり中学生レベル(もしくは高校生)から教えられても理解できないのです。

お金の難しい知識の前に学ぶべきことはたくさんあります。そしてそれらは教え方次第で小学生でも理解できる内容なのです。

では、ここまでが中・高校生のお金の授業についてでしたが、小学生はどうなっているのでしょうか。

金融教育の小学校の教育方針

ここでは、小学校において金融教育をより効果的に進めるための指導計画例を示す。これまでに述べたように、小学校では、社会科、生活科、家庭科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間をはじめとする多くの教科等で金融教育を行うことが可能である。

知るぽると 金融広報中央委員会

小学校ではお金の授業というものはなく、家庭科・社会や生活などの授業で断片的に生活に密着した内容でお金に関する実習を行なっているようです。

生活科では、パン屋に言ってどんなパンを買うかや、商店街に行って店を見るなど、買い物の仕方・お金の正しい使い方の授業を行なっています。

買い物の練習のような授業で簡単なものですね。他の授業も含めて、消費者としてのお金の使い方を学ぶ機会は作られているようです。

また、家庭科では保険のリスクの話などもあるようですが、はっきり言って6年ある授業の中の1コマくらいです。たった一回教えられても記憶に残らないでしょう。

そこで教える教員についても上述されているように深い知識があるわけではないですし、受験に関係無い項目はさらっと飛ばしてしまうのが現状ではないでしょうか。

まとめ

学校で教える内容は浅い内容ですし、お金の教育というよりは生活の一部としてのお金の使い方を知る、と言った感じです。

そうなるのであれば、家庭での金融教育を進めてもらうしかないことになります。家庭でお子様とお金の話をしてもらいたいと、私がお金の授業のテキストを作っている私の意図はそこにあります。

家庭でぜひお金の話をお子様としてください。

参考 – 知るぽると

金融広報中央委員会が管理する、「知るぽると」のサイトを見ると、金融教育の指導例として非常に意味のある内容も多く載せられています。

ここにあるお金の授業が実際に学校で行われることはあまり無いと思いますが、教えようとしている内容は素晴らしいものも多いのです。知るぽるとに載せられているお金の授業が実際に学校で教えられる事を切に望みます。

参考:知るぽると 小学校における金融教育の指導計画例

以上、読んでいただきありがとうございました。