外資系営業職の給与条件を提示されたら確認すべき内容【インセンティブ制度のリスク】
外資系営業に興味がある人はインセンティブの仕組みにも興味があるのではないでしょうか?
この記事では、外資系営業職の主なボーナスの仕組みであるインセンティブについて解説します。採用条件として年収を提示された人にはぜひ見て欲しい記事になっています。
- インセンティブの基本的な仕組み
- 外資系企業の給与条件における確認ポイント
- インセンティブは個人の努力で上がるのか?
- まとめ
この記事を書いている私は、外資系営業歴10年で、アメリカ駐在経験もあります。
20代で日系から外資系に転職してからはずっとインセンティブの仕組みの元で働いています。
インセンティブの基本的な仕組み
インセンティブ(incentive)とは人の意欲を引き出すために、外部から与える刺激」という意味のようです。一般的に成績による出来高制で契約を行うこと、といった意味ですね。
外資系の営業では成績によってもらえるインセンティブが変わります。そして一般的な「ボーナス」という仕組みはありません。
外資系に給与条件は、「基本給+インセンティブ」で示される事が多いです。簡単に言うと、以下のように説明されます。
- 基本給:必ずもらえる給料
- インセンティブ:成績によって変動するボーナス
例を出して説明しましょう。
基本給が500万円、インセンティブが500万円の場合、想定年収条件として会社から提示されるのは、年収「1000万円」ということになります。しかし注意が必要です。必ず1000万円もらえると思ってはいけません。どういうことでしょうか。
基本給の500万円は確定ですが、残りの500万円は成績目標を100%達成した場合にもらえる場合の金額です。つまり成績がひどく落ち込んだ場合には最悪インセンティブは「ゼロ」になる可能性があるということです。
このようにインセンティブ制度にはちゃんと理解をしておかないと危険なポイントがたくさんあります。外資系営業に転職する前に基本的な知識として覚えておくポイントを以下に解説します。
外資系企業の給与条件における確認ポイント
- 基本給とインセンティブとの比率
- インセンティブ支給条件
- インセンティブ支給回数
基本給との比率
外資系企業の先行で給与条件が提示された時は基本給とインセンティブの比率を確認しましょう。それがリスクの大きさになります。
例えば基本給:インセンティブが7:3であれば比較的安定して給与がもらえます。合計1000万円だとしても、ワーストケースで700万円は確保されるわけですからどんな成績になってもある程度の給料は確保できます。
しかし、3:7だったらどうでしょうか?基本給300万円でインセンティブが700万だとしたら最悪の場合は年収300万円になる可能性を考えなければいけません。
ただし、自分は結果を出す自信があるという人は、3:7の場合の方がハイリターンになる可能性もあります。700万円が標準のインセンティブは場合によっては200%支給になると、1400万円になる可能性があるからです。
基本給300万円でインセンティブ1400万円という可能性も条件次第ではあると言うことですね。合計1700万円になる可能性があり、夢がありますが、これはハイリスクハイリターンで個人的には怖いです。
7:3のケースで言うと700〜1300万円までしかなりませんが、この方がまだ安定していますよね。実際の外資系の給与条件はこれくらいのものが多いような気がします。しかし3:7はなくとも5:5くらいのケースはありうるので、合計想定年収だけでなく、基本給とインセンティブのバランスでリスクとリターンを考えることが重要ということです。
インセンティブ支給条件
どのような結果を出せばインセンティブがもらえるかということです。とても重要なので絶対に事前に確認してください。
これが無謀な目標に対してであればインセンティブは実質でないブラック企業になるかもしれません。インセンティブを出すかどうかは評価基準によるので、自分がもらえるかどうかの予想をするのに必須の情報です。
また、その比率がどう変わるかも重要です。営業職の場合、自分の担当の売り上げにリンクしてインセンティブが決まるのが一般的です。
自分の売り上げが前年比70%以下であればインセンティブはなし、逆に110%になった場合にインセンティブは自分の基準金額の130%をもらえるなど、条件が決まっています。
とくにリスクを考える意味で、売り上げがどこまで下がったらインセンティブがなくなるのかどうかは、重要なポイントなので要確認です。
インセンティブ支給回数
外資系で多いのは4半期ごとにインセンティブを受け取るパターンです。年二回ではありません。その4半期の売り上げに応じてインセンティブが受け取れます。給与条件には年間の金額しか書いていないこともあるので確認してください。
インセンティブは個人の努力で上がるのか?
インセンティブは結果を出せば多くもらえると言う出来高制ですが、本当に結果を出した分もらえるのでしょうか?少し深く考えていきたいと思います。
努力して自分が売ったものの売り上げ結果がすぐに出るような業界(BtoC)であれば、自分の努力した分がインセンティブにすぐに反映されていくと思います。
半年前に販売しまくった結果が今インセンティブとして払われるということもあるでしょう。
しかし、私のいる企業間取引(BtoB)の業界ですと、数年後に作られる電気製品のような製品の部品の営業をするビジネスです。つまり売り上げが出るのが数年後なのです。
スマホであればサイクルが早いので1年後に売り上げの結果が出るかもしれませんが、車の部品や工場の部品などは採用されてから3-4年後にやっと売れるということも普通なのです。
例えば次の世代の車に使われる部品が今2020年に採用されたと考えてみましょう。その売り上げが上がるのは2024年になります。そうすると自分のインセンティブに今の私の営業結果が反映されるのが、2024年になるわけでそれまでは反映されません。
では2020から2023年のインセンティブは何が反映されているかというと、2-3年前の営業活動の結果になるのです。
販売(デザイン)サイクルが長いと注意
少しわかりにくいかもしれませんが、サイクルが長い業界の場合、今のインセンティブは数年前の営業活動の結果が反映されるため、もう変えようがありません。今の自分の営業活動の結果が反映されるのは2024年以降になるのです。
特に自分が担当を変更されたばかりの人であれば、前の担当者の営業結果によるインセンティブをもらうことになるわけです。それって自分では変えようがありません。前の担当がポンコツでインセンティブ無しだとしても自分では何もできないのです。非情で理不尽な世界ですが、これが現実です。
しかし、逆に前の担当が素晴らしい結果を出していて、インセンティブもものすごい多くもらえると言う可能性もあるわけです。これって自分で選べないので運になります。
ここも考えてみたいのですが、それは全て運で決まるのでしょうか?そんなことはありません。
管理職から見たら、評価の高い人にインセンティブを多くあげたいと思います。評価の低い人がインセンティブを多くもらっていたら他の人の批判も大きくなりますし、ふさわしくないからです。
数年後までの売り上げが決まっているような業界では、人を配置した時点で数年間のインセンティブは決まってしまうのです。つまり管理職は評価の良い人を多くインセンティブをもらえるポジションに配置することになります。
ややこしくて申し訳ありませんが、結論は以下です。
「評価が高ければ、インセンティブを多くもらえるポジションにつけてもらえる」
要するに自分の営業成績が反映されるのが数年後でも、上司に評価されていればよりインセンティブが高くもらえるようになるのです。自分の評価を上げていきましょう。これに尽きます。
まとめ
外資系営業として働くには、インセンティブという仕組みを理解することは重要です。自分の収入に直結してくるからです。
転職活動の際にも年収だけを見るのだけでなく、インセンティブの条件なども理解して判断しましょう。
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