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Intel、ファウンドリ事業の売却を検討か – 財務改善への一手

半導体

Intel Corp.がファウンドリ事業の売却を検討しているとの報道が複数のメディアで報じられました。この売却案は、同社が直面するビジネスの逆風に対処するための選択肢の一つとして浮上しており、他にもファブ建設プロジェクトの見直しや停止の可能性も示唆されています。

業績不振と経営再編の取り組み

この動きは、Intelが四半期ごとの業績を発表した数週間後に明らかになりました。Intelの2024年第2四半期の売上高は128億ドルで、前年同期比で1%減少しました。これは市場予測の129億ドルをわずかに下回る結果でした。調整後の1株当たり利益は2セントで、投資家が期待していた10セントを大きく下回りました。

業績不振を受けて、Intelは収益性の改善を目指して大規模な経営再編を発表しました。この再編では、同社が従業員の約15%を削減し、来年までに年間経費を100億ドル削減する目標を掲げています。

ファウンドリ事業売却の影響と背景

ファウンドリ事業の売却は、Intelの運営コスト削減に向けたさらなる一手として注目されています。この事業は、同社のファブを活用して他の組織向けにチップを製造するもので、直近の四半期では18億ドルの赤字を計上しました。アナリストによれば、この事業はしばらく赤字経営が続くと予想されています。

Intelが製造事業を縮小するのは初めてではなく、2008年にはライバルのAdvanced Micro Devices(AMD)がファブネットワークを独立した企業としてスピンオフし、現在のGlobalFoundriesを設立しています。このような動きは、製造事業の経営負担を軽減するための一手として評価されています。

今後の展望と製造技術の進化

Bloombergによると、Intelは事業の売却やファブの建設中止といった劇的なステップを取る前に、より控えめな措置を検討している可能性が高いとされています。その一環として、一部のチップ工場の建設を延期する可能性が報じられています。

これらの動きは、Intelが新しい製造技術「Intel 20A」を導入する取り組みの最中に起きています。この技術は、ゲート・オール・アラウンド(GAA)トランジスタ技術を実装した初のもので、プロセッサの性能と電力効率を向上させることが期待されています。また、2025年に稼働予定の「Intel 18A」ノードも順調に開発が進んでおり、試作チップがすでに動作確認を終えています。

今後の決定と経営陣の対応

Intelのリーダーシップチームは、9月の取締役会でファブ売却の可能性を含む様々な選択肢を検討するとされています。Morgan StanleyとGoldman Sachsがこの取り組みを助言しており、同時にIntelはアクティビスト投資家からの圧力に対抗するための支援も受けていると報じられています。

参考記事:
Intel reportedly weighing sale of its foundry division

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