TSMC、ドイツ・ドレスデンにて初のヨーロッパ工場- 自動車産業に照準
今回は、台湾の半導体大手TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.)が、ヨーロッパで初となる半導体製造施設をドイツ・ドレスデンに着工したというニュースについてお伝えします。この新工場は、ヨーロッパの自動車産業を支える重要な供給拠点となることが期待されています。
工場の背景と重要性
2024年5月、台湾の半導体製造大手であるTSMCが、ドイツ・ドレスデンにてヨーロッパ初の半導体製造施設の着工式を行いました。この新工場は、特に自動車産業向けの半導体供給を強化することを目的としており、ドイツおよびヨーロッパ全体の産業基盤を支える重要なプロジェクトとなります。
ドレスデンを選んだ理由
TSMCの会長兼CEOであるC.C. Wei氏は、ドレスデンが顧客に非常に近く、優れた人材にアクセスしやすい場所であることを選定の理由として挙げています。また、ドイツのオラフ・ショルツ首相も、半導体がドイツの将来にとって不可欠であると強調しました。
新工場の詳細と運営
建設スケジュールとコスト
新工場の建設は2024年中に開始され、2027年末までに稼働を開始する予定です。このプロジェクトには100億ユーロ(約111億ドル)を超える投資が見込まれています。
合弁会社による運営
この新施設は、TSMCが70%の株式を保有する合弁会社「European Semiconductor Manufacturing Co.」によって運営されます。この合弁会社には、自動車部品メーカーのBosch、ドイツのInfineon Technologies、オランダのNXP Semiconductorsがそれぞれ10%の株式を保有しています。
生産能力と技術
この工場では、12nmから28nmの成熟プロセス技術を用いた半導体が製造される予定であり、特に自動車および産業用途向けのチップが生産されます。2029年までに月間4万枚の12インチウエハーを製造する計画です。
ドイツでの労働力確保と地域への影響
労働力の確保
TSMCは、ドレスデン工場の円滑な稼働を確保するために、労働力確保を急いでいます。同社は今後3~5年で数百人のエンジニアをドイツに派遣する予定であり、またドイツの大学との提携により現地での人材育成にも取り組んでいます。
地域への影響と期待
ドイツ政府はこのプロジェクトに5億ユーロの支援を約束しており、ドイツ国内の半導体供給の安定化と自動車産業の強化に大きく貢献すると期待されています。また、この工場は再生可能エネルギーを活用した持続可能な製造モデルとしても注目されています。
TSMCのグローバル展開と将来の展望
グローバル展開の背景
TSMCは、ドレスデン以外にも米国アリゾナ州や日本の熊本県に新しい半導体工場を建設中であり、これにより世界中での生産能力を拡大しています。このグローバル展開は、各国政府からの支援と顧客からの需要に応えるための戦略的な動きです。
将来の展望
TSMCは、今後もドイツやヨーロッパ全体での事業拡大を視野に入れており、今回のドレスデン工場がそのモデルケースとなることを目指しています。新たな技術革新と持続可能な製造の実現に向け、TSMCのグローバル展開は今後も注目を集めることでしょう。
参考記事:
TSMC breaks ground on first Europe chip fab with eye on auto sector